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わたしのすきな場所 vol.5

いつまでもわかりきれなくて、いつ来ても新しい発見がある場所

わたしのすきな場所 vol.5 - いつまでもわかりきれなくて、いつ来ても新しい発見がある場所

養老公園の広報を担当して約2年という、公園職員の荒木正広さん。小さな町が一つの公園というくらい敷地も広大で、内容もバラエティー豊かな養老公園の中で、彼が最も好きな場所に選ぶのはどんな場所なのでしょう。待ち合わせたのは、養老公園の中で最もよく案内するという場所でした。

すきな場所:養老天命反転地
荒木 正広さん(養老公園)

一歩入って見て驚く、広大さと迫力に魅せられて

荒木さんと待ちあわせたのは、アーティスト、荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏による巨大なアート作品である「養老天命反転地」の中。楕円形フィールドから、広がる景色を眺めながら、荒木さんは話します。

「実は、私自身この場所にちゃんと入ったのは、勤務するようになってからなんです。養老公園に来ることはあっても、この場所に来ることはなかなかなくて。初めて入った時に、想像以上の広さにびっくりしたんです。だって、遠くから見るとそこまで広くは感じないじゃないですか。入ったら別世界で、思わず駆け出したくなるような、そんな衝動に駆られてしまったんです」

確かに、車で養老公園に向かっていると、途中で山の中にちょっと異質な「養老天命反転地」が出現するのが見てわかるのですが、この奥行きと迫力は入ってみてはじめてわかること。そして、荒木さんは「足元は十分気をつけてくださいね!」と言いながら、中へと進んでいきます。平らなところがほとんどないというほど、ぼこぼこしていたり、小さな山のように起伏していたり、足から感じるおもしろさもこの場所にはあるようです。
 

「ここは、本当に険しくて、行き方を間違えるとすごく行きにくくなっちゃったりして。なんでここに穴があるの?みたいな場所もありますしね。そういうところは、まるでインディージョーンズの世界に入ってしまったような感じというか、映画の世界みたいに思えることもありますよ。そして、ここからの景色が一番好きなんですよ」
 
そう言って小さな山の上に登って、気持ちよさそうに荒木さんは遠くを眺めます。 「ここからの見晴らしが気持ち良くて。天気のいい日は名古屋の方までよく見えるんですよ。あとは、春の新緑の時期は、木々が青々としていたり、秋は葉っぱが茶色くなってきたり、季節によっても見えてくる景色が変わるので、それも魅力的です。でもほら、こういう地形ですから、工事車両が入れないんです。だから、植物の管理やメンテナンスも全て人力で、歩いて行っているんですよ」
 

きっかけは何でも、ここで何かを感じ取ってもらえたらいい

この巨大なアート作品を手がけた荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏は、建築や芸術というジャンルでは、世界的にもよく知られているお二人。だからこそ、海外からわざわざこの場所を訪れる人も少なくないと言います。ここを訪れるたび、今まで出会ったいろいろなお客様の顔が浮かぶ、と荒木さん。

「海外から電車を使って足を運んでくださるバックパッカーの方も、毎年数多くいらっしゃいますよ。あとは、国内外問わず、繰り返し来てくださる方も多いんです。私よりも勤務歴の長いスタッフにもよく話を聞きますが、最初はお友達同志で遊びに来てくださって、しばらくしてそこからカップルが生まれてデートに来てくださって、また数年が経ったら結婚されていて、そして、今度はお子さんが生まれてご家族で来てくださって、なんていう素敵なお客様もいらっしゃるんです。私たちも、お客さまと何気ないお話をしたり、そういう報告を受けるのがとっても嬉しいんです」

この施設内を見渡すと、傾斜をうまく使ったり、撮る角度や見え方を緻密に考えながら、楽しそうにユニークな写真を撮っている様子。傾斜をうまく使ったり、撮る角度や見え方を緻密に考えながら、アーティスティックな一枚を撮ろうと奮闘しているお客さまの姿が。そんな様子を微笑ましく眺めながら、荒木さんはこう話します。

「やはり、インスタグラムなどSNSをやっている方が多いからか、最近はこういうユニークな撮影の楽しみを知っていただいて、10代や20代の若いお客さまも増えました。ミュージシャンの方のアルバムジャケットで使われたこともあって、その写真からここの場所を見つけ出して足を運んでくださった、という方も意外とたくさんいらっしゃって。きっかけは、なんでもいいと思っているんです。おもしろい写真が撮りたいっていう動機でも、ここに足を運んでくださって、このアート作品の中を存分に歩いて、そしていろいろなものを感じながら楽しんでくださったら、それでもいいのかなって思いますね」

 
最後に、好奇心で「養老天命反転地」のことは何でもわかる感じですか?とお聞きすると、「いえいえ、深すぎて(笑)」と荒木さん。

「ここって、1回ではわからない仕掛けがたくさんあるんですよ。『なんでこんなところにこんなものが⁈』っていう意外性が、本当にたくさん散りばめられています。だから、それを探しながら歩いていただけたら、作品の世界観に一歩近づいていただけるのかなと思います。 私は、広報という役割を担っていながら、まだ、ここのことは100%ご案内できていないかもしれません。だから、お客さまと一緒にアーティストの世界観を楽しみながら考えているところです」