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公園の小さなものがたり vol.4

9時15分のふたり組

公園の小さなものがたり vol.4 - 9時15分のふたり組

ぎふ清流里山公園は、親子で遊びに来る人や公園内で行われる展示やイベントを楽しみに足を運ぶ人、季節の植物を楽しみながら散策を楽しむ人など、毎日いろいろな目的の人たちが訪れます。そんな中、毎朝、欠かさずやってくる常連さんがいるのだそう。それも、ふたり組。一体、どんな方たちなのでしょう?

毎朝、同じ時間に同じルートを歩くという楽しみ

朝、9時15分。この時間に、決まってやってくる常連さんがいる。そう教えてくれたのは、この公園で働いて約12年という中村さん。

「おいくつくらいかなぁ、70代半ばくらいだと思うんですけど、男性のふたり組のお客さまが毎朝きてくださるんです。晴れている日はもちろん、雨の日も傘をさしていらっしゃるんです。それで、3㎞くらいあるここの外周をゆっくり散歩されているみたいで」

どうやらふたり組は、ここでの朝の散歩を日課にしているようです。いわゆる公園よりは起伏があるものの、山道ほどハードではないので歩きやすく、里山の景色や昭和世代には懐かしい建物もあるので、飽きずに歩けるのかもしれません。

「ゲートから入っていただくと、緩やかな上り坂がしばらく続きますから、3㎞といっても最初は大変だったんじゃないかなぁ、と思うんです。でも、最近は身体が慣れてきたのか、毎日の運動で体力も付いてきたのか、サッササッサと歩いて行かれますよ」

地面も歩きやすいし、一般車は通らないから安心。さらには自然に囲まれて空気も美味しいというのは、嬉しいところです。そして、木の葉がサラサラと音を奏で、虫や鳥や蛙の鳴き声も、あちらこちらから聴こえてくるのも、心地よいもの。季節の彩も刻々と変わっていきますから、毎日同じ景色のようで、毎日違うものに出会えるというのも、楽しく散歩ができる理由なのかもしれません。

 

いつまでも仲良く元気に通ってほしい、と静かに願う

皆勤賞というくらい、毎日訪れているだけあって、ふたり組の常連さんはスタッフとも顔なじみだそう。

「朝は、私も持ち場で作業をしたり案内をしたりしています。でも、彼らが歩いてきたら手を振ったり挨拶をしたり。そういう簡単なコミュニケーションが取れるのは、私も嬉しいんですよ。お一人でいらっしゃることもあるので、『今日はお一人なんですね?』なんて声をかけたりね」
 

毎日顔を合わせていても、「実は、お名前は知らないんです」と中村さん。

「顔は分かっているから、自然にお話ししたり挨拶したりしますけど、お互いに名前を聞くことはないんです。それでも、笑顔を交わせる関係。それって、もしかしたら公園ならではの関係かもしれませんね」

名前も境遇もなにも知らない。それでも、毎日同じ時間に顔を合わせているからこそ、ふたり組の変化にも敏感なようです。

「お二人が仲がいいっていうのは、彼らを見ていれば一目瞭然です。でも、なにも話さずに黙って歩いている日もあれば、ずっと楽しそうにおしゃべりしている日もある。たくさんお話しされていたり、お二人の表情が明るいと、あぁ、今日は調子がいいんだなぁ、と思ってね。よかったなぁ、って思うんです」

友達でも家族でもない。ただ毎朝、挨拶を交わすだけ。それだけの間柄であっても、相手が調子が良さそうなら嬉しいし、そうでなさそうなら少しだけ心配になる。ふたり組の常連さんと公園スタッフの間には、絶妙で程よくあたたかい距離感が存在しているようです。

「今朝ですか?もちろん、いつもの9時15分ぴったりに、お二人一緒にいらっしゃいましたよ。お二人でいらっしゃると、なんだかホッとしますね。いつまでも、お二人で仲良く散歩しに来ていただきたいです!」