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公園の小さなものがたり

夫婦で作り続ける美しいひょうたんランプ

公園の小さなものがたり - 夫婦で作り続ける美しいひょうたんランプ

養老公園の入り口から養老の滝に向かって歩いている途中、入口に小さなひょうたんがたくさんぶら下がったひとつの建物「ひょうたんらんぷ館」があります。ほんの少し緊張しながら扉を開けると、暗い室内にひょうたんランプがずらり。美しい絵柄が浮かび上がって、なんとも幻想的です。「これはご主人が?」店主らしき男性にお聞きすると、「彫ったのはね。絵はカミさん」と照れ臭そうに。ご夫婦で作っていることに興味が湧いて、お話をお聞きしてみました。

夫婦それぞれの得意分野を持ち寄って

季節の植物や着物の伝統柄、マトリョーシカやフクロウなど、ひょうたんランプには、実にさまざまな絵柄が施されています。細かい点で描かれた繊細なラインが内側からの灯で美しく浮かび上がり、暗い空間の中は幻想的な雰囲気。

「ひょうたんらんぷ館」を営む吉田さん(ご主人)にお聞きすれば、作り始めたのは2000年頃。もともと、約40年前からひょうたんを栽培して販売していた吉田さんが、絵を描くのが好きな奥様に「ひょうたんに絵を描いてみたら?」と提案し、逆に奥様が、手先が器用な吉田さんに、絵に沿って穴を空けてランプにすることをお願いしたのがはじまりだそう。
 

奥様は、その時のことをこう語ります。 「ひょうたんって、自然のものだから形がいろいろで。たまに、そのままだとフォルムがしまってないものってあるんですけど、絵柄を施して灯にしたら、そんなひょうたんもきゅっとしまって見えて。主人とこれはおもしろいね、って。それですっかりハマっちゃったんです。100個作ったらミュージアムにしよう!って二人で目標を立てて。結局、オープンまで10年くらいかかっちゃいましたけどね!(奥様)」

 

「同じものは作らない」が二人のルール。次は何を作ろうかと、日頃から話しながら、時にはご主人がリクエストをすることもあるそう。

「絵を考えるときは、日本画や着物の柄、陶器の柄を参考にすることもありますし、この辺できれいな花が咲いていたら、それをスケッチして柄に落とし込むこともありますよ。絵に関してはかなり任せてくれているけど、たまにリクエストをもらって描くのもおもしろいですね。鯉の滝登りは主人からのアイデアで描いたものですけど、鯉と滝を別々に描いたら透けて合体して見えて。これには二人で興奮しましたね(奥様)」
 

作りながら感じる互いの仕事の素晴らしさ

ひょうたんランプづくりの難しさは、適した素材にもあるとご主人の吉田さん。 「ランプには太いものが適しています。でも、これって人の手や育て方ではどうすることもできなくて、全てはその種がどういう遺伝子を持っているかで決まります。だから、たくさん作るしかない。絵柄に穴を空けるのは根気があればできるけど、ひょうたん作りはそうはいかない。毎日朝夕、畑に足を運んで手入れをしてね。とにかく、手間暇がかかるんです(吉田さん)」

ひょうたんづくりの本当の難しさは、収穫後の後処理だと言います。中の種を取り出し、乾燥させる。言葉で説明すればシンプルですが、この作業の良し悪しがひょうたんの美しさに影響すると言っても過言ではないほど。絵を描きながら、毎回その仕事のすごさを感じていると奥様は言います。 「主人の作るひょうたんは、触るとすべすべなんですよ。それは、実はすごいことで、素人さんではなかなかこんな美しい肌にはできません。虫がつかないように、病気にならないように、日頃からこまめに消毒や手入れをしているのもありますけど、種出しと乾燥の作業もこだわってやっているんです。描いていると、なめらかで描きやすくて、あらためてすごいなぁって思いますよ(奥様)」

ここに並んでいるひょうたんランプは、値段が付いていません。売り物にしないのも、吉田夫妻のこだわりです。 「売り物にするよりも、たくさんの方に見ていただいたほうが嬉しいので、欲しいと言われてもお断りしています。気に入ったものがある方は、何度も見に来てくださいますよ。今でも増え続けているので、新しいものを探してくださったり、来る度に楽しんでいただいています(吉田さん)」

売るためではなく、ひょうたんを生かすために描き、素材と絵をより引き立たせるために灯りにする。美しいひょうたんランプに、お互いに理解し合い尊重する夫婦の姿も見たような気がしました。